ありふれた恋。
無音の世界にひとり取り残された私は、冴えた頭で思案に更ける。
陽介はどんなケーキを買ってきてくれたのかな。
陽介がケーキ屋に出入りするなんて、なんかおかしい。
もしかして誕生日プレゼントなんてあったりしちゃう?
陽介のことを考えれば心は躍る。
だけれど、考えすぎたら心は沈む。
私たちは"曖昧な関係"で、
恋人とも、
ましてや友達とも呼べぬ仲。
ーーじゃぁ、なに?
私たちの関係を表すピッタリな言葉は、
たぶん、
"互いの孤独を埋めるだけの存在"
そんな関係は虚しいものだけど、
陽介からは離れられない。
ズタズタに切り裂かれても、
心を壊されても、
一生、陽介の虜(とりこ)であり続けるだろう。