ありふれた恋。

「よしよし」

泣き崩れる私の頭を撫でる、祐太郎の手は優しい。


「なんかあったー?」

「もう……、疲れたかな」



涙を拭き、祐太郎から離れる。


「陽介さんのこと?」

「うん」

「フラれた?」


遠慮なく投げ掛けられる質問。
その方が話しやすいだろうという祐太郎の配慮だ。


「陽介と可愛らしい女の人が、一緒に歩いてて。嫉妬したのかな?そんな嫉妬なんてする権利もないのにね」


私の事情も、気持ちも知っている祐太郎には
ありのままをぶつけられる。


「辛いの。叶わぬ恋をし続けていることが」


「じゃぁ、諦めればいい。忘れちゃえば、いーじゃん」


さらりと祐太郎は言い、私を見る。


「泣く程、辛い恋ならさっさと終わらせた方がいい」


祐太郎の言葉が胸に突き刺さった。

金髪に大きな瞳の彼は童顔に見られるが、誰よりも大人だ。
勉強もできて世の中のことも沢山知っている。祐太郎の言葉は、いつも正しい。

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