ありふれた恋。
今こそ、決着を。

数学担当の若い教師が生徒からの質問を受け、また長い長い説明が始まった。

質問を投げかけた生徒だって、本当に分からなくて質問をしたわけでないのは一目瞭然。


ただ若い、
それだけの理由で教師を試しているのだ。




自分が提示した問題を教師が上手く解決できるのかを。


「あ~ダルい授業」


祐太郎が教室全体に響き渡る声で言えば、教師の背中がわずかに震えた。


新米教師に祐太郎は問題児として映っているようで、なにかと平穏にやり過ごそうという努力が垣間見えていた。

祐太郎はそれが気に入らないのか、教師の気に障るようなことをわざと言ってのける。


「マジ退屈だわ」

「それじゃあこの問題でも、同じことが言えるんですかね?」


授業を放棄して漫画を広げている祐太郎の小言も、優等生の質問も、

はっきり言って、今の私にはどうでも良かった。




この数学の授業が終わった後、私にはあることが待ち構えていて。


それから逃げ出そうとする弱き自分を必死に抑え、勇気を奮い立たせようとしていた。




もちろん少しも授業の内容は頭に入ってこない。


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