ありふれた恋。
私だけがいつも不安で、悩んで。
「嫌だな」
ぽつりと呟いた言葉に、今度は陽介もフォークを置いた。
「なにが嫌なわけ?」
「来年はひとりで誕生日を祝ってるのかな、って思ったらなんか嫌になってきた」
「それ。祝ってるって言わないだろ」
確かに。ひとりきりで過ごす誕生日は、誰からも祝福されない。もちろん自分自身からも。
「来年もここに来ればいいだろうが」
さらりと嬉しいことを言う陽介は、たぶんなにも考えてないのだろう。
来年は陽介と一緒に過ごせたとして、それじゃぁ再来年は?21歳の誕生日は?
いつまでここに来て良いのか、その期限を質問することができたら少しは気持ちが軽くなるのだろうか。