幼馴染の 愛でられ姫
ー side伊織 ー


物心ついた時から一緒に居るのが当たり前で

可愛い美桜の傍を離れまいと これは俺の物

誰にも触らせない。

と 思って過ごしてきた。

仲の良い両家の親達を見て過ごし

少しも疑わなかったんだ。

くりっとした 大きな瞳 ぽってりした唇
ふわっとした髪 全部 全部 自分のものだと……


そんな俺に爆弾を投下したのは
他でもない 父親で……


『伊織、お前の婚約者を考える時が来た』と

嘘だ……

『こんやくしゃ?』

『そうだ。』

『婚約者は、婚約者は美桜に決まって……』


『美桜ちゃんは、確かに可愛いが……
一般庶民だ。
お前、それが何を意味するのか 分かるか?』

『一般庶民……いっ!一般庶民だからなんだって言うんだよ、俺は、俺は美桜以外は居らない他の人とだなんて 嫌だ!そんな縁談話、まさか、まさか まだ来て……まさか……』


『そのまさかだ、お前に縁談話が来ている』

『うそだろ?そんなの 断ってくれ!!!』


『……。お前、分かってるのか?
社の未来がかかっているんだ
お前の身勝手でなんて、許されない』

『頼む。頼むよ 父さん……俺は、俺には美桜しか居ないんだ……頼む……お願いします』

必死に、必死にお願いして

ある条件が出されたんだ。

『条件がある。』と



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