幼馴染の 愛でられ姫
『分かった。とりあえず座ろう?』
真剣な眼差しの伊織


『美桜、さっきは 泣かしてごめん
あんな顔、させたく無かった。
本当にごめんっ!

……俺、渡米しただろ?

渡米する前に 父さんに言われたんだ……』


『おじ様に?』

こくりと頷く伊織


『お前に 縁談の話がきてるって』

美桜の表情が 暗くなる……


『まさか あんな事 言われるなんて
1ミリも思わなくてさ。』

じっと伊織を見つめる美桜……


『冗談じゃない、俺の婚約者は 美桜だって
ずっとそうだと信じてたんだ!

だから、それだけは 譲れなくて
美桜、俺の気持ちばかり 押し付けてる?
美桜は、美桜は 俺じゃ 嫌だったかな……』


『っ!!?そんな、そんな事ないよ。
私も、ずっと伊織と一緒に居たいと思って
いたよ!だから、だから伊織が居なくなって
どんなに 寂しかったか…… 胸にぽっかり
穴があいたみたいに……』


『……ありがとう。良かった。』


『伊織……』


『でね、父さんに必死にお願いしたんだ。

だから、渡米したんだよ…』





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