幼馴染の 愛でられ姫
『そうだったんだ。そんな事があったなんて
知らなかった……。』


『ん。それで 、 ここからなんだけど
藤堂 ……俺の秘書いるだろう?』

『藤堂さん?』

『当時話が持ち上がっていたのが 藤堂なんだ』


あんな 綺麗な人が、伊織の婚約者だったかも
しれなかったんだ と 思ったら 涙が 目尻から
伝って……。
『──っ。 ごめっ』涙を拭う美桜

『あっ。美桜、泣くなよ、今言ったろ?
最初から 俺の婚約者は美桜だけだって』

ぎゅっと
抱き寄せて 美桜を優しく包みこむ伊織。

『だって……うぅぅ』

『あいつは、優秀なんだ。それは認めている
一般公募で うちを受けていて 見事難関を
突破してきている 人材だ。
だから 秘書として雇ったんだ……。

ただの社長と秘書だ。
俺は しっかり 線引きしている。

だから 美桜は 何も心配する事はないよ?』


ぎゅっと、美桜を抱きしめる腕に力が籠る。

伊織を見上げて 不安気な様子の美桜……。

『大丈夫だから、心配しないで?』

一刻も早く美桜を安心させたい伊織……。

『藤堂さん、なんであそこにいたのかなぁ』


『会合には うちの父さんが来るのだけは
知っていたから、美桜は 同行で
自分が外されたのは 許せなかったのかもなぁ
……。』


『……』


『美桜?しばらく 藤堂には 俺たちの関係は
秘密にしよう。 美桜、何かあったら
一人で解決しないで 俺に絶対に言う事
約束して? 』
(絶対、美桜を守る)


『うん。分かった』



『良かった……分かってもらえた?』


『美桜、誰になんて言われようと
美桜は俺の婚約者だ。 忘れないで ……』


『伊織……。大好きよ
ずっと 想っていてくれて ありがとう!』


見つめ合い、引き寄せ合い、そっと唇を
重ねた2人。 『ふはは 』ほっと 安心したら
すっかり辺りは 暗くなっていた。









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