幼馴染の 愛でられ姫
『美桜!!!』
伊織は 慌てて 近くにかけ寄り
美桜を 守るように抱き寄せると
冷たい口調で
『 何をした?』
藤堂を睨みつけ言い放つ
腕の中では美桜が 震えている
(許せない)
『 その 小娘が いけないのよ!!!
一般庶民のくせに!!!!』
伊織の腕の中で 涙が溢れて 止まらない美桜。
伊織は ついに 一言
『藤堂社長、 私には 大切な婚約者が居ます』
伊織の様子から 藤堂社長の瞳に曇が宿る
『伊織くん……』
『私の大切な人が 今、叩かれました 』
大事な大事な美桜……
『私の婚約者は 一般庶民と言われる家庭で
育ちましたが、 私には そんな 境界線は
存在しません。
そんなもの弱点にしないくらいの 力を
私は 身につけたつもりです。
ですから、私に釣り合う 釣り合わないは
私が 決めます。お分かりいただけますか?』
泣き崩れる 藤堂秘書。
『……伊織くん、 悪かったね……』
眉を下げて謝罪の言葉を口にする藤堂社長
『いえ……。』
ぎゅっと 未だ 美桜を離さない 伊織。
『ほら 香、帰るぞ!』
泣き止まない秘書を 立たせ 出口へと足を進め
藤堂社長は 帰って行った。