チーム『KTSM』へ ようこそっ!!


ガコォンッ



激しい音が、空き地に響く。

私の放ったボールはゴールリングにぶつかって、シュートが決まることなく右の方へと落ちた。


……やっぱり、全然ダメだった。

ケイくんのシュートとは全然違って、綺麗のきの字も無い不細工なシュート。



「……あーぁ、全然ダメだったね」



ガックリしながらも、顔には笑顔を貼り付ける。



「やっぱり、運動音痴な私は見てる方がいいよ。 ケイくんや太一くんのプレーを見てると、すっごく楽しいもん」


私もケイくんみたいに……なんて思ってしまったこと自体が間違いだったんだ。



「はい、ボール」



近くに転がっていたボールを、ケイくんにパスする。

それを受け取ったケイくんは、そのままシュート体勢に入る。

……うん、やっぱり綺麗。



「あのさ、七瀬」

「ん?」

「初めから上手く出来る奴なんて、一人も居ないよ。 もしそんな奴が居たら、そいつは神様だ」



シュッ と放たれたボールは、リングにぶつかることなくゴールに吸い込まれる。



「俺や太一だって、最初は馬鹿みたいにシュート外しまくってたし、今だって外す。 物事を完璧にこなせる奴なんて、絶対に居ない」



転がっていたボールを拾い、またシュートを放つ。

今度はほんの少しだけぶつかって、辛うじて決まった感じだ。



「ほら見ろ、ちょっとバランスを崩すとこれだ。 どんなに集中してやったって、打つ場所やタイミングが狂えば綺麗なシュートにはならない」



ニコッと笑い、今度は私にボールをパスする。



「お前のシュート、言うほど悪くないよ」


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