チーム『KTSM』へ ようこそっ!!
バスケットのルールはよくわからないけど、でも、やっぱり公式とは違う。
みんな伸び伸びとプレーしていて、笑顔が絶えない。
みんながみんな、ダンスを踊っているみたい。
……凄く綺麗。
その中で一番輝いているのは、やっぱりケイくんだ。
メガネをかけているから、見た目はちょっと地味だけど……でも彼の動きは他の誰よりも速くて美しい。
敵がシュートの邪魔に入っても、フォームが多少崩れていても、それでも綺麗で凄いのはケイくんの姿だけだった。
そうやって6人でプレーしている間にも続々と人が集まり、気付いたら、20人ほどが空き地の至る場所でプレーしていたり雑談していたり……という光景になった。
……みんな、バスケット仲間ってことだよね。
なんか、私一人浮いちゃってる気がする……。
「七瀬」
「あっ……」
と、そこにやって来たのは、プレーを終えたケイくんだった。
「ほい、プレゼント」
「え?」
「シュート決まったら、プレゼントやるって言ったじゃん」
そう言いながら渡されたのは、イチゴ牛乳のペットボトル……。
「……なんでイチゴ牛乳?」
「好きだから。 他に理由あるか?」
「……いえ、納得しました」
ケイくんって、イチゴ牛乳が好きなんだ。
なんか、意外と可愛いかも……。
「ケイくんって、子供みたいだね」
「ん?」
「イチゴ牛乳って、子供が好きそうじゃん。
ほら、牛乳は飲めないけどイチゴ牛乳なら平気ーって感じでさ」
「あー……なるほど」
隣に座ったケイくんを見ながら、キャップを開けてイチゴ牛乳を口に運ぶ。
リストバンドで汗を拭ったケイくんは、どこか遠くを見ながらふっと小さな笑みを浮かべた。
「俺、小さい頃からイチゴ牛乳ばっかり飲んでた。
親父もお袋もイチゴ牛乳が好きだから、その影響かな。
歯とかにはすげー悪そうだけど、高校通うようになった今でも、時々無性に飲みたくなる。
つーことで、それちょうだい」
「へっ!? やっ、でも私、口つけちゃったよ……!?」
「別にいいよ、気にしない」
気にしないって……私はメチャクチャ気にしちゃうよっ……!!
だってそれって、間接キスってことだよ!?
間接でも、キスはキスだよっ……!?