チーム『KTSM』へ ようこそっ!!


満足そうに笑うケイくん。

ケイくんは、バスケットが出来る“今”を幸せに思っているんだ。


……だけど私は、「それでいいのかな?」と、思ってしまった。


アメリカで試合を見た時の気持ち……そして、バスケ界の頂点に立つのが夢だと語ったケイくん。

彼は今、ストバスで満足しているけれど……でもそれは「夢を諦めてしまった」ことになる。

それこそ、「積み上げてきたものが全部無駄になってしまうんじゃ?」と、そう思ってしまった。



「……私、バスケのことは、本当に何もわからないけど……でも、ケイくんのプレー、凄く好きだよ。
空き地に居る誰よりも輝いていたし、楽しそうな笑顔を見ていると、こっちまで笑顔になることが出来る。
でも、ね……今の話を聞いたら、正直『勿体無い』って思った」

「え?」

「だって、頂点に立つために毎日いっぱい練習してきて、最優秀選手にも選ばれて、他の学校の監督さんも誘ってくれてるんでしょ?
ケイくんは、みんなに期待されてる選手だってことだよね? なのに、通ってる学校のバスケ部が廃部になったからって、そのまま公式を辞めてストリートで遊んでるだけなんて……そんなの勿体無いよ」



赤の他人である私がこんなことを言うなんて、ケイくんはきっと嫌に感じるだろうけど……。

でもそれでも私は、私の感じた気持ちを伝えたかった。



「バスケをやってる人はたくさん居るけれど、そこまで認められてる選手は、ほとんど居ないでしょ?
……バスケに愛されてる。 そう思うのなら、ストリートで満足してちゃいけないと思う」



ケイくんのプレーを、公式の舞台で見たい。

それが私の想いだ。


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