チーム『KTSM』へ ようこそっ!!


「か、勝てそう……?」

「あゆちゃんがキスしてくれたら勝てるかもねー」

「へっ……!?」



私と太一くんが、キス!?



「あゆちゃんがキスしてくれたらさぁ、きっと普段の5倍くらいのパワーが出るよ。 ね、だからチューして?」

「やっ……えっと、そのっ……!!」



仔犬のような、甘えた瞳。

顔がカーッと熱くなるのを感じながら、あたふたしていると……、



「お前こそ、試合のこと考えろよ」



……と、ケイくんが太一くんの頭をパシッと叩いた。

それに対する太一くんは、肩をすくめながらおどけたように笑う。


そしてそのまま、二人はいつものようにじゃれ合い始めた。



「重要な試合の前なのに、コイツらは変わらないねぇ」



そう笑ったのは、いつもニコニコの祥介さん。

と、その時に気付く。 祥介さんの左手の中指と人差し指に、包帯が巻かれている……。



「祥介さん、それ、どうしたの……!?」

「ん? あぁさっき怪我しちゃって。 だから今日はもう、コイツらに任せるつもり」

「えぇ!? だ、大丈夫ですか!?」


「うん、ただの突き指だから平気」



突き指……。

うぅ、聞いてるだけで、なんだか指が痛くなってくる……。

そっか。 祥介さんはもう、試合に出ないんだ……。



「……祥介さんがプレーしてるところ、見たかったなぁ……」

「あはは、よっぽどヤバかったら出るよ。 今日の悠一は、あんまり動きがよくないからね」

「え? 悠一さん、調子悪いんですか?」



ふっと悠一さんを見ると、困ったように微笑んでいる。

そんな顔をすること自体、かなり珍しい……というか、初めて見た。


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