チーム『KTSM』へ ようこそっ!!
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大会終了後、祥介さんと悠一さんは『念のため病院へ』ということで、先に帰っていった。
太一くんはもう少し残って、他のチームのメンバーと1対1をしていくらしい。
そこには優勝チームのメンバーも居たから、彼らとプレーすることが目的みたい。
誰とでもあっという間に打ち解ける太一くんは、さすがだ。
そして私とケイくんは、二人で帰り道を歩いていた。
「負けたなー、勝つつもりでやってたのに、全然歯が立たなかった」
メガネをかけ、空を見上げて苦笑気味に笑うケイくん。
「……世界には、アイツらよりももっともっと凄い奴が居るんだよな」
そう言ったケイくんは、背伸びしたあとに私を見た。
「勝つって言ったのに、負けてごめんな」
「ううん、みんな凄かったよっ。 試合には負けちゃったけど……でも、みんな凄く輝いてた。
凄く、格好良かったよ。 ケイくんのプレーしてる姿、本当に素敵だった」
試合はたった5分で終わってしまったけれど、その中で見たケイくんのプレーは、まぶたの裏に焼き付いている。
目を閉じると、ほら、今でも鮮明に浮かぶ。
「……ケイくんのプレーは、誰よりも綺麗だった。 それを、もっともっと見ていたい」
……『ストバスで終わらないよね?』って言ったのは私なのに、今は『もっともっと見たい』と思ってしまってる。
明日にはアメリカへ行ってしまうケイくんを、今は引き止めたい……。
私のそばで、これからもプレーしていてもらいたい。
そう思ってしまった。
「だけど俺は、アメリカに行く」
「……うん」
……そうだよね。
ケイくんはもうすぐ、行ってしまうんだ……。
「でもまだ行かない。 だから、今はお前と居るよ」
「……え?」
「バスケ、しに行こう」
ニコッと笑ったケイくんが、私の手を握る。
「二人で、最高の1日にしようぜ」
優しくて、温かで、それでいて爽やかで、清々しいケイくんの笑顔。
胸の奥が温かくなるのを感じながら、「うんっ!!」と大きく頷いた。