「もも」と「モモ」
そう思いながら、だらしなくたるみ半開きになった口を、わざわざ真上からのぞいてみた。


このまま、沖に流されても翌朝まで気づかないのではないだろうか?というくらい深い眠りに落ちている。


あまりにも無防備な寝顔なんか見ると、その人の見てはいけない裏側を垣間見た気持ちになってしまう。


けど、その、なんとも言えないマヌケな表情を見ていても、好きという気持ちが半減することはない。


むしろ、そのままでいてほしい、とさえ思う。


こんなふうに秘密を探るかのように、彼の寝顔を見ることが癖になっているのは、私に心を許してくれているみたいで安心できるから。


そして、夢の中であろう顔を見続けながら、


ーーもう二度と、愛する人が目の前からいなくなりませんように。


と、願っていた。
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