「もも」と「モモ」
軽いくせっ毛の髪をなでてやると、突然宏智の寝息が大きくなり、それはまるで、
「わかったよ」と、でも言いたいみたいだった。

「あのさ……」

あらたまって告白されたとき、この人とは自然にそんな流れになるだろうと予感していたから、私の返事は笑顔で簡単にうなずいただけだった。


「私が傷つくような結果になることがあっても、絶対に嘘はつかないでくれる?」

「約束する。嘘はつかない」


宏智は即答してくれた。


私は安堵すると同時に思った。


ーーそれがすでに嘘でも、かまわない。


『嘘はつかない』とい嘘だったとしても、そんなふうに言ってくれることを心のどこかで望んでいたから、きっと許すことができるんじゃないかな、と思ってしまった。


もう、悲しい思いをしたくないから……。

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