「もも」と「モモ」
彼に出会ってそれがわかった現在なら、迷わず好きになった人がタイプだと答えるだろう。


そんなことを思っていると宏智の寝息が大きくなり、笑いそうになるのをこらえていると、治療したばかりの奥歯がキラリと見えた。


宏智に出会う前、失恋のストレスから過食に走ってしまって、5キロも太った。


それが言い訳にしろ、余分な脂肪と体重が増加され丸くなった私に、本気で好きと言ってくれて、甘えるように私を包み、抱きしめてくれたことが何よりも嬉しかった。


なんてことないその日を出来事を話す小さな食卓で、私の作った食事を口いっぱいに頬張りながら、目尻を下げて、


「おいひぃ」

と言って、必ず褒めてくれる。

「ホント?」

「何食べても美味しいよ」


単純細胞な私だから、どんな料理でも挑戦してやろう!という気持ちになれる。


些細なことでも、私がポジティブになれる『素』は、間違いなく彼のおかげなのだ。

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