理想人間製造機
久しぶりにお風呂から早く上がった。

お母さんとお兄ちゃんと少しでも長く話していたいと思ったからだ。

「上がったよーー!」

元気にそう言ってリビングに繋がるドアを

勢いよく開けた。

「あ、あら!早いのね!」

今お母さんが何かを隠した気がした。

明らかに目が泳いでいて焦っているようにも見えた。

「どうしたの?何かあるの?」

そう言いながらお母さんに近づこうとした時

「来るな!」

お母さんがそうか叫んだのだ。

あんな優しい顔だったお母さんが

今は山姥のような恐ろしい顔をしていた。

もうこれ以上一緒にいても何か危ない気がして

私はリビングをあとにした。

早く寝よう。そう思った私は

自室に戻り、静かにベッドに入った。

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