今日もたっくんに溺愛されちゃっています。
あれは、たっくんが集めてる漫画だ。
たしか近所の本屋さんには5巻だけ売ってないって嘆いてたんだよね。買っといてあげよ。
やっぱりさっきの態度はひどかったし…
帰ってこれ渡して、それで謝ろう。
そう決意をして本屋さんを出たものの、何だかんだとウロウロして家の近くに着いた頃には既に日が暮れていた。
携帯で時間を確認しようとするも、充電切れ。
そのまま家の近くのコンビニに入り、買い物ついでに時間を確認して驚いた。
「嘘、もう19時過ぎてる?夏は日が長いから全然気付かなかった…」
門限を過ぎていることに気付き、慌ててコンビニで会計を済ませ外に飛び出した。
急がないと……
どうでもいいけど、私は絵に描いたようなおっちょこちょいだ。
だから、こんな風に焦ったり急いだりするとかなりの確率で……
転ける。激しくすっ転ぶ。
「いたぁ……またやっちゃった」
「………朱里?朱里っ!」
コンビニの前にしゃがみ込み、擦りむいた膝を押さえていた時。
少し離れたところから聞こえてきたその声に顔を上げる。
そこには……
いつものニコニコ、キラキラ笑顔ではなく不安でいっぱいの顔のたっくんがいた。