今日もたっくんに溺愛されちゃっています。
「…っぅ、」
「ごめん、痛い?」
「大丈夫だよ。私が悪いんだし」
子供の頃から何度も足を踏み入れたことのある部屋には消毒液の匂いが広がっている。
たっくんは子供の頃から私が怪我をするとこうやっていつも手当てをしてくれるんだ。
ドジ故に怪我が絶えない私の手当てを何年もしているからかその手際のよさに毎回驚かされる。
「オジさん達に怒られなくて良かったけど…こんな時間まで誰とどこで何してたの?」
「え?えっと……」
たっくんから逃げるために時間潰してたなんて、絶対言えるわけない。
口籠る私にたっくんの目は鋭く光る。
「まさか男?」
「へっ?そんなわけないよ。ただ一人でウロウロしてたの」
「何しに?目的は?」
「それは……」
「言わないとハグの刑だよ」
「うっ……言いますから」
相変わらず私の全てを把握したがるたっくんに観念して、鞄からゴソゴソと数種類の袋を取り出した。
「あのね、これは大きな本屋さんで見つけた漫画」
「これ、そこの本屋には売ってない幻の5巻じゃん」
「そう。それでこっちは駅前のパン屋さんで買ったメロンパン。好きでしょ?」
「うん。メロンパンといえばそこのパン屋のだよね」
「あとは文房具屋さん行ったついでに消しゴム買っといたよ。たっくんの消しゴムもうちっちゃくなってるから」
「よく知ってるね」
一つ一つ確認するように、たっくんの前に差し出していく。
えーっと、次は。
「あとはねぇ………」
「ちょっと待って」
袋の中から次の品物を出そうとしたとき、何故かたっくんは私の手を止めた。