今日もたっくんに溺愛されちゃっています。



暫く話しているとマサトは俺の隣にいる朱里に気付いたようで、視線を落として軽く会釈をする。



「マサト、この子が朱里だよ。ノートにはたくさん書いてたけど、会うのは初めてだよね」

「あ…うん。あの…僕、古賀 正人です。遅くなりましたけどバレンタインありがとうございました」




深々と頭を下げるマサトに、朱里はニッコリ笑って「どういたしまして」と言う。

マサトに朱里のことを話していたのと同じように、朱里にもマサトの話たくさんしてたから…

二人が初対面っていうのが不思議に思える。





「私ね、マサトくんにずっと会いたかったから嬉しいな。ねぇ、手出して?」

「え?こう、ですか?」

「そうそう。はい、入学祝いだよ」




朱里は登校中に拾ったと思われる桜の花びらをポケットから取り出すと、マサトの手にパラパラと落として行く。

マサトの手は、一瞬で桜色に染まった。



「綺麗だったからさっき拾ったの。マサトくん、入学おめでとう」

「あ…ありがとう、ございます…」



なんだか嫌な予感がしてマサトを見ると、手だけではなく頬まで桜色に染まっていて…

また一つ、憂鬱が増えた。



朱里…本当に勘弁してよ。

そんなに爆弾落としまくって、どうするつもり?



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