navy blue〜お受験の恋〜
改札を出たみちかと乃亜は手を繋いで乗り換え駅へと向かいゆっくりと歩く。
美容室、駐車場、マンション、保育園、その間には畑があったりと駅前とは思えない長閑さだ。
自宅から聖セラフ学院小学校へ向かう途中には乗り換えが一度あって、そこは駅と駅が離れていて少しだけ歩く必要があった。
初めて行った時は不便に感じたけれど、朝の込みあった電車にずっと乗り続けるより、こうして途中で外の空気を吸う時間が取れるのは通学途中に乃亜の気分転換になるような気がする。
自宅最寄駅から乗り込んだ電車は流石に平日の朝なので乗車率は高めだったけれど、下り電車のせいかひしめき合う程でもなかった。
みちかと乃亜は小さなカラオケボックスの脇道から、横断歩道を渡った。
道の向こう側にあるこじんまりとした駅の改札、そこを入ればすぐ目の前がホームだった。
これなら単純で、小さな乃亜でも迷う事がなさそうだ。
間も無くホームに滑り込んできた電車に2人は乗り込んだ。
「乃亜ちゃん、1つ目の駅で降りればもう小学校だからね。あと少しよ。」
少しばかり混んではいるけれど聖セラフの最寄駅は近いのであとほんの少しの我慢だ。
乃亜は車内の液晶ディスプレイを見上げ、停車駅名を見つけたようで「本当だね。もうすぐだね。」と、落ち着いた様子で言った。
今日の乃亜はとてもしっかりと落ち着いていた。
昨夜から面接のやり取りをシュミレーションし続けて頭がいっぱいになっている自分よりもよほど、みちかは娘を頼もしくすら感じていた。
今日は聖セラフ学院小学校入試2日目のB日程、たった10名しか取らない狭き門ではあるけれど今日の乃亜はいい結果を出せるような気がする。
だからこそ母である自分が足を引っ張るわけにはいかないのだ。
みちかは、小さく深呼吸をした。
昨夜、百瀬との電話の後、悟に電話をかけてなんとか学校長へ手紙を書いて欲しいとお願いをした。
朝起きるとダイニングテーブルに悟の書いた手紙が置いてあった。
それを見てみちかはホッとしたけれど、一人で面接をこなす心配が和らぐことはなかった。
その時、車内アナウンスが聖セラフの最寄駅へ到着する事を告げる。
「ママ、着くね。」
手を繋いだまま、乃亜がみちかを見上げる。
「着いたね、降りようね。」
電車が遅れなくて良かった、ここまでくれば後は学校まで徒歩10分だ。
乃亜とみちかは電車を降りて、ホームをゆっくりと歩いた。
雨の多い10月なのでお天気が崩れないかヒヤヒヤしたけれど、清々しい程の秋晴れで空が抜けるように青い。
目の前に聖セラフ学院の駅看板が見える。
その下をくぐり抜ければもう改札だった。
乃亜を先に歩かせ、みちかが改札にICカードをかざす。
「あっ…。」
改札を抜けた乃亜が小さく声を上げた。
みちかも顔を上げる。
2人の視線は駅の出入り口に釘付けになる。
そこには、濃紺のスーツに身を包んだ、百瀬が立っていた。
美容室、駐車場、マンション、保育園、その間には畑があったりと駅前とは思えない長閑さだ。
自宅から聖セラフ学院小学校へ向かう途中には乗り換えが一度あって、そこは駅と駅が離れていて少しだけ歩く必要があった。
初めて行った時は不便に感じたけれど、朝の込みあった電車にずっと乗り続けるより、こうして途中で外の空気を吸う時間が取れるのは通学途中に乃亜の気分転換になるような気がする。
自宅最寄駅から乗り込んだ電車は流石に平日の朝なので乗車率は高めだったけれど、下り電車のせいかひしめき合う程でもなかった。
みちかと乃亜は小さなカラオケボックスの脇道から、横断歩道を渡った。
道の向こう側にあるこじんまりとした駅の改札、そこを入ればすぐ目の前がホームだった。
これなら単純で、小さな乃亜でも迷う事がなさそうだ。
間も無くホームに滑り込んできた電車に2人は乗り込んだ。
「乃亜ちゃん、1つ目の駅で降りればもう小学校だからね。あと少しよ。」
少しばかり混んではいるけれど聖セラフの最寄駅は近いのであとほんの少しの我慢だ。
乃亜は車内の液晶ディスプレイを見上げ、停車駅名を見つけたようで「本当だね。もうすぐだね。」と、落ち着いた様子で言った。
今日の乃亜はとてもしっかりと落ち着いていた。
昨夜から面接のやり取りをシュミレーションし続けて頭がいっぱいになっている自分よりもよほど、みちかは娘を頼もしくすら感じていた。
今日は聖セラフ学院小学校入試2日目のB日程、たった10名しか取らない狭き門ではあるけれど今日の乃亜はいい結果を出せるような気がする。
だからこそ母である自分が足を引っ張るわけにはいかないのだ。
みちかは、小さく深呼吸をした。
昨夜、百瀬との電話の後、悟に電話をかけてなんとか学校長へ手紙を書いて欲しいとお願いをした。
朝起きるとダイニングテーブルに悟の書いた手紙が置いてあった。
それを見てみちかはホッとしたけれど、一人で面接をこなす心配が和らぐことはなかった。
その時、車内アナウンスが聖セラフの最寄駅へ到着する事を告げる。
「ママ、着くね。」
手を繋いだまま、乃亜がみちかを見上げる。
「着いたね、降りようね。」
電車が遅れなくて良かった、ここまでくれば後は学校まで徒歩10分だ。
乃亜とみちかは電車を降りて、ホームをゆっくりと歩いた。
雨の多い10月なのでお天気が崩れないかヒヤヒヤしたけれど、清々しい程の秋晴れで空が抜けるように青い。
目の前に聖セラフ学院の駅看板が見える。
その下をくぐり抜ければもう改札だった。
乃亜を先に歩かせ、みちかが改札にICカードをかざす。
「あっ…。」
改札を抜けた乃亜が小さく声を上げた。
みちかも顔を上げる。
2人の視線は駅の出入り口に釘付けになる。
そこには、濃紺のスーツに身を包んだ、百瀬が立っていた。