navy blue〜お受験の恋〜
順路通りに校舎から渡り廊下を通り、体育館に向かう。
入り口には、説明会などで数回お会いした教員や学校長の姿があり、「おはようございます。」と子供たちに声をかけていた。
「おはようございます。」
乃亜とみちかも立ち止まり、挨拶をする。
皆、笑顔で和やかな雰囲気を醸し出しあまり緊張感を感じさせない。
受付で名前を告げ、ゼッケンを受け取り体育館の中へ入ると、椅子が並び既に20組ほどの家族が座っていた。
椅子は受験票に記入されたアルファベット毎に区切られ並べられていて、乃亜とみちかは自分たちの場所を探し、並んで座った。
みちかは、ゼッケンを乃亜の肩に掛け、丁寧に結びつけた。
白い長袖シャツと濃紺のキュロットスカートを履いた乃亜の全身をチェックする。
「乃亜ちゃん、緊張する?」
「うぅん。大丈夫だよ。ママは?ママは面接1人で大丈夫?」
乃亜の言葉にみちかはゆっくり微笑んで見せた。
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう。ママ頑張るから乃亜ちゃんも楽しんで、頑張ってきてね。」
ヒソヒソと小さな声で励まし合っていると、間も無くマイクを持った教頭が現れた。
試験の流れの説明の後、子供たちはそれぞれ割り振られたアルファベット毎に並ぶよう指示された。
みちかも乃亜の手を引き、列まで連れて行った。
そして他の親と同じように、子供と離れ、体育館の壁側で静かに見守った。
「それでは入学試験に行ってまいります。お父様お母様にご挨拶しましょう。」
先生の声のあと、それぞれ子供たちは手を振ったり会釈をしている。
みちかは静かに乃亜を見つめていた。
小さな身体にゼッケンをつけた乃亜は、みちかを見つめてニコリと微笑み少しだけ手を振った。
猫っ毛の髪で結わいた細い三つ編みが、心もとなく小さく揺れる。
生まれてからまだ5年の時間しか過ごしていない乃亜が、たった1人で試験を受けに行く。
みちかの目には、自然と涙が溢れた。
乃亜は他の子供たちと踵を返し、体育館を後にした。
取り残された保護者達は、見えなくなった子供たちの残像を見守るかのように静かにいつまでもその場に立ち尽くしていた。
入り口には、説明会などで数回お会いした教員や学校長の姿があり、「おはようございます。」と子供たちに声をかけていた。
「おはようございます。」
乃亜とみちかも立ち止まり、挨拶をする。
皆、笑顔で和やかな雰囲気を醸し出しあまり緊張感を感じさせない。
受付で名前を告げ、ゼッケンを受け取り体育館の中へ入ると、椅子が並び既に20組ほどの家族が座っていた。
椅子は受験票に記入されたアルファベット毎に区切られ並べられていて、乃亜とみちかは自分たちの場所を探し、並んで座った。
みちかは、ゼッケンを乃亜の肩に掛け、丁寧に結びつけた。
白い長袖シャツと濃紺のキュロットスカートを履いた乃亜の全身をチェックする。
「乃亜ちゃん、緊張する?」
「うぅん。大丈夫だよ。ママは?ママは面接1人で大丈夫?」
乃亜の言葉にみちかはゆっくり微笑んで見せた。
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう。ママ頑張るから乃亜ちゃんも楽しんで、頑張ってきてね。」
ヒソヒソと小さな声で励まし合っていると、間も無くマイクを持った教頭が現れた。
試験の流れの説明の後、子供たちはそれぞれ割り振られたアルファベット毎に並ぶよう指示された。
みちかも乃亜の手を引き、列まで連れて行った。
そして他の親と同じように、子供と離れ、体育館の壁側で静かに見守った。
「それでは入学試験に行ってまいります。お父様お母様にご挨拶しましょう。」
先生の声のあと、それぞれ子供たちは手を振ったり会釈をしている。
みちかは静かに乃亜を見つめていた。
小さな身体にゼッケンをつけた乃亜は、みちかを見つめてニコリと微笑み少しだけ手を振った。
猫っ毛の髪で結わいた細い三つ編みが、心もとなく小さく揺れる。
生まれてからまだ5年の時間しか過ごしていない乃亜が、たった1人で試験を受けに行く。
みちかの目には、自然と涙が溢れた。
乃亜は他の子供たちと踵を返し、体育館を後にした。
取り残された保護者達は、見えなくなった子供たちの残像を見守るかのように静かにいつまでもその場に立ち尽くしていた。