navy blue〜お受験の恋〜
「いちごと、キウイと、ぶどうと、バナナだね。」
みちかの作ったフルーツサンドを覗き込み、乃亜が嬉しそうにひとつひとつのフルーツを指差した。
「食べていい!?」
身を乗り出して、目を輝かせる乃亜が可愛くてみちかはうふふと笑った。
「いいわよ。どうぞ召し上がれ。」
「いただきます。」
美味しそうにフルーツサンドを頬張る乃亜をみちかはじっと見つめた。
何かを食べている乃亜を見るのが大好きだ。
モグモグと動く口元が可愛いし、自分のこしらえたものを美味しそうに食べてくれる事で幸せを感じる。
乃亜が幼稚園から帰ってきたら、おやつの時間に聖セラフ合格の話しをしようと決めていた。
紅茶をひとくち飲んで、みちかはそっと口を開く。
「乃亜ちゃんの学校、聖セラフ学院小学校に決まったよ。」
ちょうどフルーツサンドを飲み込んだ乃亜が、大きく目を見開いてこちらを見つめる。
「本当!?やったぁ。嬉しい!」
「良かったね。楽しみね。」
「うん!乃亜ちゃんね、試験の時にお友達が出来たんだよ。お友達に会えるの楽しみ!」
1点の曇りもない笑顔で無邪気に喜ぶ乃亜を見て、みちかはホッとしながら微笑んだ。
乃亜は聖セラフをとても気に入っていたので、乃亜にとってこの結果はとても良かったのだとみちかは思う。
みちか自身も、ブルーの制服を着て、百瀬が教えてくれたひみつのこみちを嬉しそうに通う乃亜の姿がイメージ出来るし、既に楽しみに感じ始めている。
「そうだ。乃亜ちゃん、明日がね、最後の体操教室なの。百瀬先生とお別れなのよ。寂しいね。」
「え…百瀬先生、もう会えないの?」
悲しそうな表情で驚く乃亜にみちかは黙って頷いた。
「明日はしっかりお礼を言いましょうね。先生も乃亜ちゃんのために、たくさん頑張ってくださったからね。」
乃亜だって百瀬が大好きなのだから、悲しいに決まっている、みちかは泣きたくなるのをぐっと堪えて、乃亜に笑顔を作って見せた。
その日の夕方、みちかがキッチンでお夕飯を作っていると、乃亜が静かにダイニングテーブルに向かっていた。
何をしているのかな?と思いながら、そのままお夕飯が出来上がるまで気づかない振りをした。
「乃亜ちゃん、そろそろテーブルにお夕飯運んでもいいかな?」
後ろからそっと声をかけると、「いいよ。」と、乃亜が振り向いた。
「ママ、百瀬先生にお手紙書いたの。」
乃亜が真っ直ぐな目で笑いながら、椅子を降りた。
そして両手で大切そうにその手紙をみちかに差し出した。
「ママが読んでいいの?」
「うん。」
開くとそこには沢山の大きな文字が並んでいた。
一生懸命書いたであろうその手紙をみちかは小さな声で音読した。
『ももせせんせいへ ももせせんせいきょうしょうがっこうがきまったよ。せんせいありがとう。たいそうきょうしつはおわるけどももせせんせいはわすれないよ。だいすきありがとうももせせんせい のあより』
読み終えたみちかを、乃亜が心配そうに覗き込む。
「ママ、どうして泣いてるの?」
「…乃亜ちゃん、お上手に書けたね。先生喜ぶね。」
頷いて笑って見せようとしたけれど涙はなかなか止まらなかった。
みちかの作ったフルーツサンドを覗き込み、乃亜が嬉しそうにひとつひとつのフルーツを指差した。
「食べていい!?」
身を乗り出して、目を輝かせる乃亜が可愛くてみちかはうふふと笑った。
「いいわよ。どうぞ召し上がれ。」
「いただきます。」
美味しそうにフルーツサンドを頬張る乃亜をみちかはじっと見つめた。
何かを食べている乃亜を見るのが大好きだ。
モグモグと動く口元が可愛いし、自分のこしらえたものを美味しそうに食べてくれる事で幸せを感じる。
乃亜が幼稚園から帰ってきたら、おやつの時間に聖セラフ合格の話しをしようと決めていた。
紅茶をひとくち飲んで、みちかはそっと口を開く。
「乃亜ちゃんの学校、聖セラフ学院小学校に決まったよ。」
ちょうどフルーツサンドを飲み込んだ乃亜が、大きく目を見開いてこちらを見つめる。
「本当!?やったぁ。嬉しい!」
「良かったね。楽しみね。」
「うん!乃亜ちゃんね、試験の時にお友達が出来たんだよ。お友達に会えるの楽しみ!」
1点の曇りもない笑顔で無邪気に喜ぶ乃亜を見て、みちかはホッとしながら微笑んだ。
乃亜は聖セラフをとても気に入っていたので、乃亜にとってこの結果はとても良かったのだとみちかは思う。
みちか自身も、ブルーの制服を着て、百瀬が教えてくれたひみつのこみちを嬉しそうに通う乃亜の姿がイメージ出来るし、既に楽しみに感じ始めている。
「そうだ。乃亜ちゃん、明日がね、最後の体操教室なの。百瀬先生とお別れなのよ。寂しいね。」
「え…百瀬先生、もう会えないの?」
悲しそうな表情で驚く乃亜にみちかは黙って頷いた。
「明日はしっかりお礼を言いましょうね。先生も乃亜ちゃんのために、たくさん頑張ってくださったからね。」
乃亜だって百瀬が大好きなのだから、悲しいに決まっている、みちかは泣きたくなるのをぐっと堪えて、乃亜に笑顔を作って見せた。
その日の夕方、みちかがキッチンでお夕飯を作っていると、乃亜が静かにダイニングテーブルに向かっていた。
何をしているのかな?と思いながら、そのままお夕飯が出来上がるまで気づかない振りをした。
「乃亜ちゃん、そろそろテーブルにお夕飯運んでもいいかな?」
後ろからそっと声をかけると、「いいよ。」と、乃亜が振り向いた。
「ママ、百瀬先生にお手紙書いたの。」
乃亜が真っ直ぐな目で笑いながら、椅子を降りた。
そして両手で大切そうにその手紙をみちかに差し出した。
「ママが読んでいいの?」
「うん。」
開くとそこには沢山の大きな文字が並んでいた。
一生懸命書いたであろうその手紙をみちかは小さな声で音読した。
『ももせせんせいへ ももせせんせいきょうしょうがっこうがきまったよ。せんせいありがとう。たいそうきょうしつはおわるけどももせせんせいはわすれないよ。だいすきありがとうももせせんせい のあより』
読み終えたみちかを、乃亜が心配そうに覗き込む。
「ママ、どうして泣いてるの?」
「…乃亜ちゃん、お上手に書けたね。先生喜ぶね。」
頷いて笑って見せようとしたけれど涙はなかなか止まらなかった。