navy blue〜お受験の恋〜
「正直とっても寂しいです。毎週、百瀬先生にお会いできるのが嬉しくて…いつだって先生のお顔が見れると幸せだったので。乃亜は先生の事が大好きでしたが、それは乃亜だけじゃなくて…、私もずっと先生に夢中でした。こんな気持ちを口にしちゃいけないのは分かってるんです。先生と最後にこうして、お会いできて良かった…。」
百瀬は辛そうな表情で聞いていた。
最後の最後まで、甘えてしまったんだなぁとなんだか申し訳ない気持ちになる。
でもこれで本当に最後だし、なるべく爽やかに終わりにしよう、とみちかは思った。
「ごめんなさい、どうしてもお伝えしたかっただけなんです。これからますますお忙しくなると思いますが…。先生のご活躍、陰ながら応援しています。」
これで帰らなくちゃ、と思った。
百瀬の気を煩わせたくない、そう思ってみちかは笑顔でさようならを言いかけた。
雨が降り出したのは、ちょうどその時だった。
それはあっという間に大粒に変わっていった。
すると百瀬が当たり前のようにみちかの手を握りしめ、そのまま走りだした。
そして公園の脇にある扉にふいにキーをかざした。
自動に開いたその扉の中へ、みちかの手を引き百瀬は足早にどんどん進んで行く。
そこは駐輪場だった。
屋根はあるものの雨風を完全にしのげるわけでもなくて、百瀬は小走りにその奥の建物の中へとみちかを無言で連れて走った。
その建物は大きなマンションだった。
雨に濡れない所まで来ても、繋いだ手を百瀬は離さなかった。
その手がとても優しくて、今にもみちかは涙が出そうだった。
もうお別れだと思っているのに、こんな風にされたら余計に忘れられない。
何も言わないで黙って雨を見ている百瀬と、並んでみちかも同じように雨を見ていた。
そして雨が一層強くなりどしゃ降りになった頃、百瀬が言った。
「あの、ここだと濡れてしまうので…。良かったら雨宿りして行きませんか?僕の家、この上なんです。」
「え…?」
雨は強く横殴りに降ってくる。
「とりあえず、行きましょうか。」
百瀬が建物の奥へと歩き出す。
その手はほんの少しだけ強引だった。
手を引かれいくつものドアの前を通り過ぎ歩いていくうちに、みちかは自分が小さな子どもになっていくような複雑な感覚に落ちていった。
エレベーターが3台並ぶホールで立ち止まると百瀬は戸惑う事なく上階へ向かうボタンを押した。
このまま行ったらものすごく後悔する事になるかもしれない、酔いが冷めていくように頭はそう理解し始めているのに、繋いだ手を離したくなくて扉が開いたエレベーターにみちかは乗り込んでいた。
百瀬が14階のボタンを押すと、ゆっくりと扉が閉じて上昇を始める。
狭くて音の無い空間に2人きりになると、ふいに百瀬は繋いだ手の指を滑らせ、みちかの指の間に指を絡ませた。
百瀬を見上げると百瀬もみちかを見つめていた。
彼の表情に強引な雰囲気は全然無かった。
ただ一緒に居たい、そうゆう子供同士のようなものさえ含んでいた。
だけどしっかり身体は大人でちゃんとその先も求めているのは分かっていて、どうにもならないから、こうして恋人繋ぎをしてエレベーターに乗ってる、でも無理やりな感じは全然無かった。
みちかは少しだけホッとして口を開いた。
百瀬は辛そうな表情で聞いていた。
最後の最後まで、甘えてしまったんだなぁとなんだか申し訳ない気持ちになる。
でもこれで本当に最後だし、なるべく爽やかに終わりにしよう、とみちかは思った。
「ごめんなさい、どうしてもお伝えしたかっただけなんです。これからますますお忙しくなると思いますが…。先生のご活躍、陰ながら応援しています。」
これで帰らなくちゃ、と思った。
百瀬の気を煩わせたくない、そう思ってみちかは笑顔でさようならを言いかけた。
雨が降り出したのは、ちょうどその時だった。
それはあっという間に大粒に変わっていった。
すると百瀬が当たり前のようにみちかの手を握りしめ、そのまま走りだした。
そして公園の脇にある扉にふいにキーをかざした。
自動に開いたその扉の中へ、みちかの手を引き百瀬は足早にどんどん進んで行く。
そこは駐輪場だった。
屋根はあるものの雨風を完全にしのげるわけでもなくて、百瀬は小走りにその奥の建物の中へとみちかを無言で連れて走った。
その建物は大きなマンションだった。
雨に濡れない所まで来ても、繋いだ手を百瀬は離さなかった。
その手がとても優しくて、今にもみちかは涙が出そうだった。
もうお別れだと思っているのに、こんな風にされたら余計に忘れられない。
何も言わないで黙って雨を見ている百瀬と、並んでみちかも同じように雨を見ていた。
そして雨が一層強くなりどしゃ降りになった頃、百瀬が言った。
「あの、ここだと濡れてしまうので…。良かったら雨宿りして行きませんか?僕の家、この上なんです。」
「え…?」
雨は強く横殴りに降ってくる。
「とりあえず、行きましょうか。」
百瀬が建物の奥へと歩き出す。
その手はほんの少しだけ強引だった。
手を引かれいくつものドアの前を通り過ぎ歩いていくうちに、みちかは自分が小さな子どもになっていくような複雑な感覚に落ちていった。
エレベーターが3台並ぶホールで立ち止まると百瀬は戸惑う事なく上階へ向かうボタンを押した。
このまま行ったらものすごく後悔する事になるかもしれない、酔いが冷めていくように頭はそう理解し始めているのに、繋いだ手を離したくなくて扉が開いたエレベーターにみちかは乗り込んでいた。
百瀬が14階のボタンを押すと、ゆっくりと扉が閉じて上昇を始める。
狭くて音の無い空間に2人きりになると、ふいに百瀬は繋いだ手の指を滑らせ、みちかの指の間に指を絡ませた。
百瀬を見上げると百瀬もみちかを見つめていた。
彼の表情に強引な雰囲気は全然無かった。
ただ一緒に居たい、そうゆう子供同士のようなものさえ含んでいた。
だけどしっかり身体は大人でちゃんとその先も求めているのは分かっていて、どうにもならないから、こうして恋人繋ぎをしてエレベーターに乗ってる、でも無理やりな感じは全然無かった。
みちかは少しだけホッとして口を開いた。