navy blue〜お受験の恋〜
「聖セラフ学院小学校って、ご存知ですか?」
何か楽しい事を話す時のようなトーンで、百瀬が口にした学校名。
みちかは頷いた。
「あぁ、はい。存じてます。家から少し遠いので、志望校としては考えていなかったのですが…。」
「そうですか。僕的にはおすすめです。こちらはカトリックの共学校ですが、子供たちみんなが優しいと評判なんですよ。ヤギや馬なんかの動物を飼っていたり、裏庭が森になっていたり。あの辺りちょっと田舎なので敷地も広いんですよ。のびのびした校風なので、ちょっとルツ女とはカラーが違うんですが。
ここは何より心の教育に力を入れていてお友達の気持ちになって考えようという教育方針です。ホームページに載っている生徒さんの作文も素晴らしいですよ。」
「いい学校ですね。」
ルツ女を強く志望していたせいで、みちかは他の小学校に関してはなかなかリサーチができないでいた。
「はい。あの、来月、学校見学会と説明会があるのでぜひ、行ってみてください。」
「来月ですか?はい、行ってみたいと思います。」
みちかはニコリと百瀬に笑顔を見せた。
百瀬もニコニコと笑って見せて、「あ…。」と、腕時計に目を落とした。
「乃亜ちゃん、お待たせしてしまっていますね。と言うわけでご入会頂きますと、1ヶ月に1度、担当講師とこのような面談をさせて頂いています。それ以外に、会員様はお電話で受験にまつわるご質問も受け付けております。あの、ここまでで分からないことはありませんか?」
「あの…ぜひ百瀬先生に担当していただきたいのですが。この土曜日のコースでしたら毎週、百瀬先生がご担当なのですが?」
みちかはもう入会しようと心に決めていた。
今日の乃亜の生き生きとした表情、百瀬の娘への理解が決め手だった。
「はい。僕が担当させて頂きます。ぜひ、一緒に、頑張りましょう。」
百瀬が一語一語噛みしめるように静かな声で言うと、みちかはホッとした表情で頷いた。
みちかは百瀬と共に、教室を出ると、乃亜の待つ隣の教室へ向かった。
乃亜は椅子に座り先ほどの女性の講師と向き合っている。
その奥の椅子に腰を掛け2人を見守る男性の姿が目に入ると、みちかははっとした。
園で乃亜がお世話になっている体操講師の関崎先生だった。
「友利さんこんにちは。今日は体験頂きましてありがとうございます。」
みちかを見るとすっと立ち上がり、長身の関崎は丁寧に頭を下げた。
「関崎先生、お世話になっております。」
みちかも丁寧に挨拶をする。
「ママ、関崎先生も来てくれたんだよ。すごいね、ここ幼稚園みたい。」
乃亜がそう言って、みんな笑った。
「宮部さん、友利さんご入会です。」
百瀬が女性講師に声をかけると女性講師は「ご入会ですね。では、受付の方で手続きをさせて頂きますね。乃亜ちゃん、お片づけしてママとお着替えしましょうか。」と、優しく乃亜を促した。
みちかと乃亜は、百瀬と関崎に頭を下げた。
「乃亜ちゃん、さようなら。来週、待ってますね。あ、幼稚園で会えるか。」
百瀬が乃亜の目線に合わせしゃがみ込み、乃亜の手を握りしめ優しく笑った。
みちかは百瀬と関崎に深々と頭を下げ、乃亜を連れて教室を出て行った。
何か楽しい事を話す時のようなトーンで、百瀬が口にした学校名。
みちかは頷いた。
「あぁ、はい。存じてます。家から少し遠いので、志望校としては考えていなかったのですが…。」
「そうですか。僕的にはおすすめです。こちらはカトリックの共学校ですが、子供たちみんなが優しいと評判なんですよ。ヤギや馬なんかの動物を飼っていたり、裏庭が森になっていたり。あの辺りちょっと田舎なので敷地も広いんですよ。のびのびした校風なので、ちょっとルツ女とはカラーが違うんですが。
ここは何より心の教育に力を入れていてお友達の気持ちになって考えようという教育方針です。ホームページに載っている生徒さんの作文も素晴らしいですよ。」
「いい学校ですね。」
ルツ女を強く志望していたせいで、みちかは他の小学校に関してはなかなかリサーチができないでいた。
「はい。あの、来月、学校見学会と説明会があるのでぜひ、行ってみてください。」
「来月ですか?はい、行ってみたいと思います。」
みちかはニコリと百瀬に笑顔を見せた。
百瀬もニコニコと笑って見せて、「あ…。」と、腕時計に目を落とした。
「乃亜ちゃん、お待たせしてしまっていますね。と言うわけでご入会頂きますと、1ヶ月に1度、担当講師とこのような面談をさせて頂いています。それ以外に、会員様はお電話で受験にまつわるご質問も受け付けております。あの、ここまでで分からないことはありませんか?」
「あの…ぜひ百瀬先生に担当していただきたいのですが。この土曜日のコースでしたら毎週、百瀬先生がご担当なのですが?」
みちかはもう入会しようと心に決めていた。
今日の乃亜の生き生きとした表情、百瀬の娘への理解が決め手だった。
「はい。僕が担当させて頂きます。ぜひ、一緒に、頑張りましょう。」
百瀬が一語一語噛みしめるように静かな声で言うと、みちかはホッとした表情で頷いた。
みちかは百瀬と共に、教室を出ると、乃亜の待つ隣の教室へ向かった。
乃亜は椅子に座り先ほどの女性の講師と向き合っている。
その奥の椅子に腰を掛け2人を見守る男性の姿が目に入ると、みちかははっとした。
園で乃亜がお世話になっている体操講師の関崎先生だった。
「友利さんこんにちは。今日は体験頂きましてありがとうございます。」
みちかを見るとすっと立ち上がり、長身の関崎は丁寧に頭を下げた。
「関崎先生、お世話になっております。」
みちかも丁寧に挨拶をする。
「ママ、関崎先生も来てくれたんだよ。すごいね、ここ幼稚園みたい。」
乃亜がそう言って、みんな笑った。
「宮部さん、友利さんご入会です。」
百瀬が女性講師に声をかけると女性講師は「ご入会ですね。では、受付の方で手続きをさせて頂きますね。乃亜ちゃん、お片づけしてママとお着替えしましょうか。」と、優しく乃亜を促した。
みちかと乃亜は、百瀬と関崎に頭を下げた。
「乃亜ちゃん、さようなら。来週、待ってますね。あ、幼稚園で会えるか。」
百瀬が乃亜の目線に合わせしゃがみ込み、乃亜の手を握りしめ優しく笑った。
みちかは百瀬と関崎に深々と頭を下げ、乃亜を連れて教室を出て行った。