navy blue〜お受験の恋〜
「珍しいですね。乃亜ちゃんがこんな風にぐずるなんて。」
百瀬の言葉に友利みちかが頷いた。
「そうなんです。ただ疲れているだけならいいのですが…。」
そう言って、友利みちかは力なく笑った。
「近頃、自宅学習で厳しくし過ぎてしまっていたので…。その反動だったらどうしようと、不安になってしまいました。」
「友利さんが厳しいなんて…。僕、想像つかないです。」
百瀬の口からスッと出てきた言葉に、友利みちかが首を振る。
「出来ないと妙に焦ってしまって…。ダメですよね、焦ってはいけない事は分かっているつもりなのですが…。」
「皆さん、そうだと思いますよ。でも乃亜ちゃんなら大丈夫です。まだ時間はありますからね。」
百瀬がそう言うと、友利みちかは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。百瀬先生とお話ししていると元気になれます、私。」
そう言って、百瀬に抱っこされる乃亜を見て「あら…。」と、びっくりしてみせた。
「乃亜ちゃん、眠っちゃいましたね。」
抱っこするとすぐに乃亜が寝息を立て始めたのを百瀬は感じていた。
「先生が抱っこしてくれて心地よかったんですね、きっと…。」
ニコニコと微笑む友利みちかは本当に穏やかに見えて百瀬は彼女に甘えたいような衝動に駆られていた。
静かな住宅街に2人の足音だけが聞こえる。
「あの、友利さん、今度良かったらお見せしたいものがあるんですよ。」
「え…、何かしら?」
百瀬の言葉に友利みちかが嬉しそうな表情をした。
「ルツ女の文集です。僕の姉の代のものなんで結構古いんですけど…。」
「あら、先生のお姉さま、ルツ女ご出身なんですか?」
友利みちかが立ち止まって驚いている。
百瀬はなんだか恥ずかしいような気持ちになった。
「はい。そうなんです。実は、母もルツ女出身で…。だから僕も女の子に生まれてたら、きっといっぱい勉強してルツ女を受けていたと思います。」
百瀬の言葉に友利みちかが、ふふふと笑った。
「もしかして先生は敬栄ご出身ですか?」
友利みちかの質問に、「あ、いえ。」と言って百瀬が一度黙り、乃亜を大事そうに抱き直した。
「僕は、自分で言うのは変ですが、小さい頃から運動神経が良かったみたいなんです。妙に足が早かったりしたらしくて。それで親は国際体育大の付属幼稚園に僕を入れてくれて。そのおかげでずっとスポーツ漬けの人生です。」
「そうなんですね。そんな小さな頃から先生はスポーツの才能があったんですね。」
「いえいえ、ただのスポーツバカです!」
百瀬は首を勢いよく振りながら「あ、でも。」と続けた。
「そうやって小さい頃に僕の得意な事を見極めてくれた両親には感謝しています。だから僕は、幼児教育って大事だって思うんです!」
百瀬の言葉に友利みちかが優しく笑う。
「素敵なご両親ですね。それに、先生は身をもって経験なさっているから、子どもたちの気持ちが良くお分かりになるんですね…。」
「いえいえ、そんな…僕はまだまだ未熟なんで。」
百瀬の言葉に友利みちかが頷いた。
「そうなんです。ただ疲れているだけならいいのですが…。」
そう言って、友利みちかは力なく笑った。
「近頃、自宅学習で厳しくし過ぎてしまっていたので…。その反動だったらどうしようと、不安になってしまいました。」
「友利さんが厳しいなんて…。僕、想像つかないです。」
百瀬の口からスッと出てきた言葉に、友利みちかが首を振る。
「出来ないと妙に焦ってしまって…。ダメですよね、焦ってはいけない事は分かっているつもりなのですが…。」
「皆さん、そうだと思いますよ。でも乃亜ちゃんなら大丈夫です。まだ時間はありますからね。」
百瀬がそう言うと、友利みちかは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。百瀬先生とお話ししていると元気になれます、私。」
そう言って、百瀬に抱っこされる乃亜を見て「あら…。」と、びっくりしてみせた。
「乃亜ちゃん、眠っちゃいましたね。」
抱っこするとすぐに乃亜が寝息を立て始めたのを百瀬は感じていた。
「先生が抱っこしてくれて心地よかったんですね、きっと…。」
ニコニコと微笑む友利みちかは本当に穏やかに見えて百瀬は彼女に甘えたいような衝動に駆られていた。
静かな住宅街に2人の足音だけが聞こえる。
「あの、友利さん、今度良かったらお見せしたいものがあるんですよ。」
「え…、何かしら?」
百瀬の言葉に友利みちかが嬉しそうな表情をした。
「ルツ女の文集です。僕の姉の代のものなんで結構古いんですけど…。」
「あら、先生のお姉さま、ルツ女ご出身なんですか?」
友利みちかが立ち止まって驚いている。
百瀬はなんだか恥ずかしいような気持ちになった。
「はい。そうなんです。実は、母もルツ女出身で…。だから僕も女の子に生まれてたら、きっといっぱい勉強してルツ女を受けていたと思います。」
百瀬の言葉に友利みちかが、ふふふと笑った。
「もしかして先生は敬栄ご出身ですか?」
友利みちかの質問に、「あ、いえ。」と言って百瀬が一度黙り、乃亜を大事そうに抱き直した。
「僕は、自分で言うのは変ですが、小さい頃から運動神経が良かったみたいなんです。妙に足が早かったりしたらしくて。それで親は国際体育大の付属幼稚園に僕を入れてくれて。そのおかげでずっとスポーツ漬けの人生です。」
「そうなんですね。そんな小さな頃から先生はスポーツの才能があったんですね。」
「いえいえ、ただのスポーツバカです!」
百瀬は首を勢いよく振りながら「あ、でも。」と続けた。
「そうやって小さい頃に僕の得意な事を見極めてくれた両親には感謝しています。だから僕は、幼児教育って大事だって思うんです!」
百瀬の言葉に友利みちかが優しく笑う。
「素敵なご両親ですね。それに、先生は身をもって経験なさっているから、子どもたちの気持ちが良くお分かりになるんですね…。」
「いえいえ、そんな…僕はまだまだ未熟なんで。」