navy blue〜お受験の恋〜
エレベーターの扉が開き、他の母親達と一緒にみちかも掃き出されるように歩き出した。
エレベーターホールから外へと繋がる通路で、立ち話をする女性達と目が合う。
同じ時間に教室へ通っている子供の母親だ。
にこやかに会釈しながらその場を通り過ぎる。
サンライズ本部から外へ出ると途端に、熱気と強い日差しに襲われた。
前を歩く母親達は皆バラバラに散って行く。
みちかは迷わずに早足で駅を目指した。
混雑する人波に押し流されないよう慎重に改札へと向かう。
乃亜が模試を受けている間の1時間半、数日前から、この時間の過ごし方は決めていた。
地下のホームで電車を待ちながら、腕時計を確認する。
自宅から駅まで子供の足でおよそ20分、駅からルツ女まではあとどのくらいかかるのか。
そろそろ書き始めなければならない願書には、自宅から学校までの所要時間を書く欄がある。
何度もルツ女へ足を運んでいるけれど、正確にその所要時間を計った事はまだ無かった。
途中、危険な場所が無いのか今一度確認もしておきたい。
みちかはホームに滑り込んできた紫色のラインの電車に乗り込んだ。
ルツ女の最寄りの3つ目の駅までは各駅停車で7分程だ。
朝はかなり本数が多く、そう混まないと聞いている。
あっという間にその駅に着き、改札を抜けてエスカレーターで地上へ上がって行く途中、向かいの下りエスカレーターに乗ってきた制服姿の4人の女の子達とすれ違った。
濃紺のリボンのついた麦わら帽子と半袖のセーラー服。
夏期講習の帰りだろうか。
皆、可愛らしく利発そうな顔をしている。
あぁ、乃亜も1年後はあの夏服を着てここを通学しているだろうか。
地上へ出て緩やかな坂を登りながら、乃亜がお友達とこの道を歩いている姿を思い描いた。
学校への道は、ビル郡が連なるかなりの大通りだ。
それでも歩道はしっかりと広く、自転車とすれ違っても余裕があるほどだ。
3分ほど坂を登り、大きな神社の脇に入って行くと聖ルツ女学園小学校が見えてきた。
正門の前まで辿り着くと、みちかは小さく息を吐いた。
駅からここまで子供の足だと、5分ちょっとかかるだろうか。
近いと思っていたけれど、家から40分は必要だ。
電車を待つ時間も考えると1時間は見た方が良いかもしれない。
そんな事を考えながら、ルツ女の周りをゆっくりと1周する。
敷地を囲んだ背の高い塀から、木々の深い緑が見え隠れしている。
学園での我が子の12年間の生活、お祈りと学び、心身の豊かな成長を夢見て、どのくらいの親たちが今、自分と同じ気持ちで過ごしているのだろう。
ルツ女を目指す事は、どこまでも広がるあの分厚い真夏の雲を掴み取る事のようだ。
みちかは小さな横断歩道を渡ると、学校のすぐ向かいに面する神社の境内へと入った。
縁結びで有名なこの大神宮で、乃亜と学校のご縁をお祈りして帰ろう。
この学校に、この土地に、どうかご縁がありますように。
小さな可愛らしいお守りを買って、真っ赤な鳥居を抜けた。
エレベーターホールから外へと繋がる通路で、立ち話をする女性達と目が合う。
同じ時間に教室へ通っている子供の母親だ。
にこやかに会釈しながらその場を通り過ぎる。
サンライズ本部から外へ出ると途端に、熱気と強い日差しに襲われた。
前を歩く母親達は皆バラバラに散って行く。
みちかは迷わずに早足で駅を目指した。
混雑する人波に押し流されないよう慎重に改札へと向かう。
乃亜が模試を受けている間の1時間半、数日前から、この時間の過ごし方は決めていた。
地下のホームで電車を待ちながら、腕時計を確認する。
自宅から駅まで子供の足でおよそ20分、駅からルツ女まではあとどのくらいかかるのか。
そろそろ書き始めなければならない願書には、自宅から学校までの所要時間を書く欄がある。
何度もルツ女へ足を運んでいるけれど、正確にその所要時間を計った事はまだ無かった。
途中、危険な場所が無いのか今一度確認もしておきたい。
みちかはホームに滑り込んできた紫色のラインの電車に乗り込んだ。
ルツ女の最寄りの3つ目の駅までは各駅停車で7分程だ。
朝はかなり本数が多く、そう混まないと聞いている。
あっという間にその駅に着き、改札を抜けてエスカレーターで地上へ上がって行く途中、向かいの下りエスカレーターに乗ってきた制服姿の4人の女の子達とすれ違った。
濃紺のリボンのついた麦わら帽子と半袖のセーラー服。
夏期講習の帰りだろうか。
皆、可愛らしく利発そうな顔をしている。
あぁ、乃亜も1年後はあの夏服を着てここを通学しているだろうか。
地上へ出て緩やかな坂を登りながら、乃亜がお友達とこの道を歩いている姿を思い描いた。
学校への道は、ビル郡が連なるかなりの大通りだ。
それでも歩道はしっかりと広く、自転車とすれ違っても余裕があるほどだ。
3分ほど坂を登り、大きな神社の脇に入って行くと聖ルツ女学園小学校が見えてきた。
正門の前まで辿り着くと、みちかは小さく息を吐いた。
駅からここまで子供の足だと、5分ちょっとかかるだろうか。
近いと思っていたけれど、家から40分は必要だ。
電車を待つ時間も考えると1時間は見た方が良いかもしれない。
そんな事を考えながら、ルツ女の周りをゆっくりと1周する。
敷地を囲んだ背の高い塀から、木々の深い緑が見え隠れしている。
学園での我が子の12年間の生活、お祈りと学び、心身の豊かな成長を夢見て、どのくらいの親たちが今、自分と同じ気持ちで過ごしているのだろう。
ルツ女を目指す事は、どこまでも広がるあの分厚い真夏の雲を掴み取る事のようだ。
みちかは小さな横断歩道を渡ると、学校のすぐ向かいに面する神社の境内へと入った。
縁結びで有名なこの大神宮で、乃亜と学校のご縁をお祈りして帰ろう。
この学校に、この土地に、どうかご縁がありますように。
小さな可愛らしいお守りを買って、真っ赤な鳥居を抜けた。