恋は等しく
1
初めて出来た恋人との思い出は散々といったところだろう。いい思い出が全くもってないかと言えばそうでもないのだけれど、脳裏によぎるのはいつだって、同じだ。

壊れた映写機が同じシーンを繰り返しうつすように、何度も、何度も、よみがえる嫌な記憶。

ごめんなさいと言う彼女の顔。後悔し、懺悔している顔ではなく、ぼくが逆上し、怒りをぶつけると思い恐れている顔。

卑怯なほどの涙。彼女から告げられた、親友の名前。あんな顔で親友の名前を口に出されたぼくは、怒ることも、わけをききだすこともできなくて、ただ一言だけ、わかったよ。と、いいその場をあとにした。

あの時、少しでも、逆上して、言いたいことをぶつけられていたのなら、この呪いのような記憶をひきずることなく、いい思い出として、受け入れることができたかもしれないし、二人を応援することができたのかもしれない。

でも、やっぱり、無理だろう。三人での思い出があまりにも、おおすぎるから、どんな形で終わりをむかえたとしても、結末は変わらなかったと思う。

二人と距離をとり、二度と会わない。だからぼく、真田ユズキは、武田ノブユキと山本ミズキと縁をきった。中学の卒業をもって。

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