恋は等しく
ゴールデンウィーク最終日、スマートフォンが鳴った。味気ない初期設定の着信音と、ディスプレイに馬場と表記されている。最終日まで特別、何のイベントもなく、だらだらと過ごしていたので、馬場と目にうつったときは、無視をきめこんで、このまま寝ていようかとも思ったが、少しお腹がすいていたので、電話ついでに起きることにした。

馬場の用件は、遊びに行こうという、高校生なら特別変わった用事でもなかったが、誘いというよりは、お願いに近いものがあった。

待ち合わせの駅に着いたのは、約束した時間の約五分まえだった。馬場は、駅前にある小さな噴水のほとりに腰かけていた。

「小早川はまだきてないの?」と、ぼくは、たずねた。

「まだみたいだな」と、馬場は答え、続けてサンキューなっと、言った。

「ぼくと一緒にいるなんて嘘をつかなくても良かったんじゃないか?」

「そりゃあれだ、ことわられたとしてもユズと一緒なら寂しいやつっておもわれないじゃん」

「別にことわられたとしても寂しいやつにはならないと思うよ。ぼくは、買い物をするときは、一人でも街にきたりするから」

馬場はぼくの肩をぽんっと叩いて「今度からおれをさそいな」と、言った。

どうやら、馬場はぼくのことを寂しいやつだと思ったみたいだった。



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