紫陽花とネバーランド
「では、改めまして、ネバーランドへようこそ!」

優雅なお辞儀。でもちょっと待て今よくわからないことを言ったぞ。

「ネバーランド?っていう名前の幼稚園?助けてくれてどうもありがとう。私そろそろ帰るね。今度お礼に来ます」

言いながら気づいた。

それならなぜ目の前の少年はピーターパンと名乗ったんだろう。

そもそもここが幼稚園だったとして、あたしが今いるのは(おそらく)塔の中だ。

窓から空しか見えないような高い塔がある幼稚園なんて、近所にあっただろうか。

「あー、もう!だから説明するってば、バカなの?」

声がさっきより低くなった。さっきまでよりサバサバした話し方になってるし。

こっちが素か。
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