紫陽花とネバーランド
「さっきも言った通りここはネバーランド。
もちろん、本物の。同じ名前のシセツとかじゃないよ。夜、空を見上げて2つめの星に向かってまっすぐ飛んだら、ここに着く」

「え、私飛んでないよ」

飛んだといえばそうだけど、目的が違う。

手っ取り早く言うと自殺だ。
真下に落ちても‟飛ぶ“にカウントされてしまうものなのか。

「飛んだじゃん」

あたしは間違えてきてしまっただけ。じゃあ、内緒にしておいたほうがいい?

「それは、死のうと思ったからで、」
あ、言っちゃった。

夢と希望の代名詞みたいな子どもの楽園にそんな理由で来てしまったなんて失望したかなと思ってピムのほうを見た。

どうしよう。焦る。


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