紫陽花とネバーランド

落ちた先は

目が覚めて最初に現れた感情は、失望、だった。

他の誰にでもない自分自身に。

あれだけの高さから飛び降りたのに死ねないのか。何もできない奴は死ぬことすらできないのか。

あたしの第一希望は消えること。出来れば、痛みを伴わない死に方がよかった。考えた末に出した答えだったのに。


誰かに救助されてしまったのだろうか。するとここは、病院?

天井ばかり見つめていてもわからないので、目だけ動かしてみた。

アンティークの机の上にはあたしの知らない花が飾られていて、アーチ型の窓は全開。

真っ白なカーテンが風に吹かれていた。

壁の一部には、何も置かれていない空っぽの本棚が張り付いていた。

明らかに病院じゃない。ここはどこ?


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