紫陽花とネバーランド
あさイチってことは洗濯の時にはもう軽々と動けるってことだよね。楽しみ。

「なんで聞きたいことわかったの」

「顔に出すぎ。それよりよく洗濯係になったよね。肉体労働なのに」

小さく笑いながらピムが言う。
あたしが洗濯係だからあさイチって提案してくれたのかな。

「だってあんなに遠いとは思わないじゃん!人魚たちとも話せて楽しかったからよかったけど!」

「楽しかったの?へえ」

ピムが驚いた顔をした。
それからあたしが返事をする前に、

「人魚と仲良くできないかと思ってた。同年代っぽいし、あいつら気強いし」

え、ピム、あたしが死のうとした理由、
知ってるの、

「ウェンディとは同じ女子でも種族が違う感ある」

違うこれ、バカにしてるだけじゃん!もう。
まあ顔の造形からして違うもんね。

「それはわかるけど!
本人に言ったらだめなやつ!」

ピム、めっちゃ笑うじゃん。
どうせあたしは平凡な顔ですよ。

「そういえばなんでピム来たの?
なんか用事?」

気を取り直して落ち着いた声で聴いたのに、

「今さら?」

笑われた。それから「今日はもういいや、おやすみ」と言って飛んで行った。

星の下を飛ぶの楽しそうだな。
あたしにも飛べるぐらい妖精の粉をかけてくれないだろうか。
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