溺れて。
中学三年生の11月。
秋冷えも深くなりつつあり、また受験勉強に力を入れなければならない忙しい月だったのを覚えている。
当時、お兄ちゃんは私の2つ上。高校2年生だった。
その日の前日、お兄ちゃんは全国の模試で5位以内に入ったということで家族に褒められていた。
お兄ちゃんは部活でもレギュラーを務めていて、勉強では常に学年トップにいた。友達も比較的多かった方で、全てが私と真逆の兄は両親にも贔屓されていた。
私は私なりに日々を頑張って過ごしているし、贔屓される理由がいまいちわからなかったけれど、今思えばそれで当然だったと思う。