溺れて。
たった3行しかない書き置きだった。
「ついさっきね、水を飲みに台所へ行ったらこの紙がここに置いてあったの。嘘だと思ってお兄ちゃんの部屋を覗いてみたんだけど・・うっ、うっ」
お母さんは泣き崩れてしまった。
イマイチ、脳内での状況の整理が追いついていない。
「じ、じゃあさ・・お兄ちゃんはどこへ行ったの・・?」
両親が分かるはずもない質問を投げた。
「・・・・・・・・」
答えは勿論なくて、重苦しい沈黙だけが台所に残る。
「ねえ、お母さん?」
「・・・・・・」
途端、何も答えてくれないお母さんに怒りを感じた。
「もういい!!」
大人しめだった私が初めて怒鳴ったのはこの時だった。