7人目のバンドマン
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階段を降りきった時だった。
思わず足が止まり、
視線をスマホから上に変える。
「ひらいた~手のひら~♪
あなたのかわ~りに~♪
哀しみを抱いて~♪
見果てぬ空の上~♪」
視線の先には駅前広場のとあるスペース。
高校に入学して、この時間にここを通るようになってから知ったけど、
この場所でたまに路上ミュージシャンが道行く人にその歌を披露している。
それは雑音に近くて、いつも僕も、そして周りの人達も足早にそこを過ぎ去っていた。