7人目のバンドマン
――――――
校門の前まで行くと、
今日も志郎さんが迎えに来てくれていた。
「お待たせしました。」
「・・・・・・。」
志郎さんは今日も無言でヘルメットを渡してきたので、速やかにそれを被って後ろに座る。
「和也。」
「は、はい。」
「俺達の曲の中で“杏子”が一番好きなのか?」
「・・・・・・はい・・・。
僕は・・・僕はあの曲が大好きです!」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・・認めてやるよ。
お前は7人目のメンバーだ。」
「え!?・・あ、ありがとうございます!」
「・・・行くぞ。」
・・・・この人は・・・
・・決して怖い人なんかじゃない・・。
バイクが発車する直前、
志郎さんが見せた笑顔は・・・立花さんとはまた違った輝きを放っていた。
第7話 完