7人目のバンドマン
三段に重ねられた小さい器の1つ、
コンニャク?と鶏肉に甘ダレがかかっている前菜を箸で持ったまま止まっていたので、口に運んだ。
「“Retry”と“霧”。
和也が詞を書いてくれて完成したあの2曲を歌う時、
確かに私は必要以上に意識しすぎて・・
それが本郷にバレちゃってたみたい。」
「・・・・ど、どういうことですか?」
「自分が詞を書けなくなって、
メンバーのみんなに迷惑かけて、
君を巻き込んでしまって・・・
そんな経緯があって出来た曲だったからね。」
「“巻き込んだ”なんて・・。
僕は“巻き込まれた”
って考えたことないですよ!
むしろ・・皆さんと関われて・・・う、嬉しかったです。」
・・・・いつの間にか忘れていた・・・。
元はと言えば立花さんが“スランプ”に陥って詞が書けなくなった、
という大前提というか原因というか・・。
僕がCycloneの皆さんとここまで深く関わるようになったのは、
この大きな問題があったからだった・・・。