7人目のバンドマン
「おはよう。眠れた?」
「はい。よく眠れました。
立花さんは・・?」
立花さんの目の前のテーブルには、
紙とボールペンが置いてある。
「昨夜・・和也が寝た後に、
旅館の外に出て、
隼人と志郎と敬介に電話したんだ。
時間が時間だったからみんな寝てたみたいで、最初は文句言われたけど、
あんなに1人1人と長い時間喋ったのは初めてぐらいかも。」
「・・ひょ、ひょっとしてその紙は・・・。」
「本郷にね、
“この旅で感じたことを詩に書け”
って言われてたの。
曲作りって、大体曲を先に作ってそこに詞をつけるんだけど、
本郷が、
“次の曲はカスミが先に詩を書いて、
それに俺が曲をつけるから、
思ったこと何でも全部書け”って・・。」
「・・で、出来たんですか?」
「・・・・帰りの電車はきっと爆睡するから起こさないでね。」
立花さんは紙を僕に渡してくれた。