7人目のバンドマン
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期待半分、諦め半分の気持ちで電車の窓から帰りの風景を眺める。
駅前広場で綺麗な女の人のあの歌声を聞いてから、
僕は毎日帰り際にあの場所を確認するようになった。
だけど、あの日以来、
女の人は現れていない・・・。
それまでと同じ、
ギターを片手に叫ぶのか歌っているかよく分からない男の人が、
雑音に似た歌声を披露していた。
また聴いてみたい。
あの透き通った全てを包むような・・・。
“お出口は~右側です”
アナウンスと共に駅に到着すると足早に電車を降りた。