不器用な恋愛
「3年前
あの頃の話をしたい」
「いいですよ。」
「俺、菜乃花に何かしたかな?」
「何もされてないですよ。」
「なら。
なんで急に音信不通になった?
理由を教えてほしい」
「嫌われたくなかったからです」
「どういう意味?」
「んー。
そのままの意味です。
あのままだったら
私はきっと木下さんに嫌われると
そう思ったんです」
「何で俺が菜乃花を嫌う?」
「じゃあ、逆に
木下さんは私をブロックしたいと
思いませんでしたか?
めんどくさいと思いませんでしたか?」
「そんなこと思ったことないけど?」
「優しいですね、木下さんは。
でも、それ本音ですか?
私もあの頃の本心を全部話すんで
木下さんの本音を聞かせてください。」
「いや、
本当にめんどくさいなんて
思ったことない。」
「ならどうして
私の送ったLINE
1週間経っても2週間経っても
既読がつかなかったんですか?」
「え?」
「あの時の私は
木下さんに会いたくて遊んで欲しくて
しつこく連絡をしました
木下さんは“平日な”って言うから
平日の月曜日に
とりあえずお誘いLINEをしました
でも既読がつかなかった
それを見てやっと気付いたんです
しつこく誘い過ぎたと。
迷惑を考えずにやり過ぎたと。
自分の馬鹿さに呆れました。
嫌われて当然のことをしてしまった
という自覚もありました。
既読のつかないトークを見て
木下さんにブロックされたかもと
不安になりました。
あの時本当は
違う内容を送って既読がつくか
ブロックされてないか
確かめたかった
でも
返事が来てないのに
また自分からメッセージを送るのは
それこそしつこいって思われる
そう思って出来なかった
木下さんに
嫌われたくなかったから
しつこいやつ
めんどくさいやつ
そう思われたくなかったから」