the Lie.
兎のしなやかな手は力を帯びて
水の声は聞き取りにくくなっていく。



『逃げようか…』

『どこか遠く………』



兎は僕を憎んでいるのか。





『ずっと一緒にいてあげる』





それとも僕を



愛しているのか。







教えてくれ。

兎。



名前も歳もわからない。

自分が誰かもわからない。



何もわからないこの世界で

兎だけが

真実なんだ。

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