the Lie.
『………どいて』

水が虫を洗い流す。



顔を上げると
兎がいた。



『……………入れない』



入りたいなら
僕をどかせばいい。

僕は両腕を上げて言う。

「ひっぱって」



兎の温かい手が僕の手首を掴んでひっぱる。

立ち上がって腕を少し引くと
兎はよろけて僕のシャツに顔をくっつけた。



気づかなかったけど
小っせぇな。

庭に出たのか??

迷子の子兎。

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