笑顔だけが可愛い。
説明しよう!千晴はみための通り、ふわふわな甘党である。なので、スイーツ?のお店には行きたいのだが、千晴は男子である。そういうお店は大抵女子向けに作られており、男子中学生一人で行くにはハードルが高すぎるのだ。
ところが、俺と一緒に行くとどうなるか。通常なら男子が二人で行ったところで更に浮くだけだが、俺は例外だ。見た目は美少女な俺と行くと、カップルに見える。カップルはそこにいても不自然ではないし、実質男だから気軽に行けるのである。
俺はあまり興味がないんだけど…背に腹は代えられないというやつだ。
「この辺の道に迷って学校に行けなくなっちゃったでしょ?だから、お姉さんたちに教えてもらおうと思って」
「、、あぁ、それはいいね。星稜学園なんですけど、分かりますか?」
「学園?すごーい!この辺の人なら大抵知ってるよ!」
「この地域で唯一勉強が出来る学校だし」
「でも口で説明するにはちょっと難しいかも…」
彼女はスマホを取り出して調べ始める。狙い通り。
千晴はにこにこしてはいるが、俺には分かる。あれは千晴の作り笑顔だ。
『咲良、どんなアホな設定なの⁉』
『成り行きでこうなっちゃったんだよ…』
『どんな成り行きなのさ』
『まぁまぁ、付き合ってくれよ』
『…はぁ。お菓子の為にね』
『そこはせめて俺のため、ってことにしてくれ』