笑顔だけが可愛い。
「こうやって行けばいいんだけど…分かる?」
「今は分かるんですけど、忘れそうで…」
彼女がスマホの画面を見せる。ここから星稜までの簡単な地図が映されている。俺は困ったような表情で懐から自分のを取り出した。
「なので、それをスクショして送ってもらえませんか?このケータイ、外ではネット使えなくて」
「そういうことだったんだね。いいよ、送る」
「ちょっと待って、その子、学ラ」
「送ってもらうのはいい考えだね。また迷ったら意味ないし」
ナイスフォロー千晴!その代わりに千晴には殺気のようなものが向けられてるけど…ドンマイ!
操作しながら、彼女に話しかける。
「お姉さんには、彼氏とかいますか?」
「えっと、いきなりどうして?」
「暇つぶしに、ちょっと聞きたいなって」
「そういうあなたは?」
「今はいませんね」
「私も」
「お姉さんみたいな可愛い人を放っておくなんて」
「…そういうあなたは作り物みたいな美少女でしょ?」
「褒め言葉として受け取っておきます」
「私はね、思ってたのと違ったっていっつも振られちゃうの」
「あー、分かります。大抵そうですね、決めつけたのはそっちなのに」
「だよねー」
「あ、LIMEでいいですよね?」
「うん」
「じゃあここに送ってもらえますか」
「名前、えとSAKURA(´▽`*)っていうの?」
「はい、本名は七海咲良って言います」
「さくらちゃんかぁ。私は大槻瑞希、よろしくね」
「よろしくお願いします」
「送れたかな?地図」
「届きました。ありがとうございました!」