笑顔だけが可愛い。

「七海咲良、って言います。中学2年生、14歳です!皆さんよりも年下、ですよね?」
「うちら高校生だからね~」
「…玲の精神年齢はどうなんだろ?」
「何を言いだすんだ君は!何も言い返せないじゃん!」
「…言い返せない。図星だから?」
「馬鹿なのは認める。」
「咲良ちゃんよろしくね」



 俺の自己紹介に便乗して二人はやり取りする。そんな二人を華麗に無視して話を続ける瑞希さん。なんだか凸凹な人たちだけど、このやり取りなんか面白い。



「僕は菜摘千晴、です。この名前でよく女子と間違えられるんですよね…中二、15歳。この間誕生日でした。咲良とはクラスメイトで親友です」
「千晴…覚えとく」
「誕生日いつー?これあげる」
「チョコですか?どうも」
「あ、じゃあ私も」
「アメですか…よく持ってましたね」
「アメは暇なときになめてるの」
「…これ、あげる」
「ありがとうございます…(マシュマロわさび味って悪意を感じる。つーかこんなの売ってるの?それ買う?普通)」



 千晴は愛想よく挨拶する。会った時からそうだけど、千晴の外面はすごくいい。他人に嫌われるなんてほとんどない千晴だが、いまに限ってはめっちゃ睨まれてる。
 誕生日祝い(?)に千晴の手には小さなお菓子が置かれている。一つ異色を放つもの(みどり色)があるけど…なにそれ?


「あたしから!名前は島崎玲、これからよろしく!」
「これからって、いま初めて会ったのに」
「そうだけどさ、せっかく超美少女と可愛い系美少年に会ったんだよ?セットで!こんな機会二度とないよ?このチャンス、モノにしないと女がすたるって」
「「あはは…」」
「…玲、正直すぎ」
「まあ言いたいことは分かるけどね」



 本当は俺は男なんだけどな…男+超美少女の要素だったら更に希少価値上がるな。漫画とかには結構ありがちな設定だけど、現実ではほぼ存在しない。可愛い系美少年も現実じゃアイドルでもほとんどいない。

 漫画の世界はうらやましいけど、俺らの扱いが軽くなるからいまは現実に生まれて良かったとちょっと思った。


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