笑顔だけが可愛い。
「いつもより早く家を出てしまったので!少し遠回りして行こうと思ったら、その、この通り迷ってしまって」
短い時間で必死に考えた結果がこれだった。
語尾がきえていく。少し本当のことが混じってるだけに、結構恥ずかしい。
だいたい俺に人受けする演技なんて向いてない。見た目で人が寄って来るだけに、普段はそんなことやる必要がないから。
おかげで俺の友達のほとんど(千晴以外)は『美少女と話してる気分になりたい』って男どもか、『美少女に寄って来るイケメンを捕まえたい』って女子達のどっちかだ。
そんな思いが“多少”あれど、根は悪い奴らではないから特に気にしてないけど。
今回は、恥ずかしかったけどそれが良かったみたいだ。
少女たちが見て分かるほどに俺に見とれている。思いっきり妹ポジとして見られてるけど、、、ま、いいか。俺は細かいことは基本気にしない主義だから。
「そうなのか~」
「教えるよ。学校はどこ?」
「スマホは持ってるの?調べればいいんじゃ?」
一人はこっちが引くほどニヤニヤした顔で頷き、彼女は少し調子を崩しながらも親切にしてくれる。さっきの少女がまた何か言ってるけどこれは対策済みだ。
元々、これが狙いだから。