Dark Light
「だから、私とあなたは知り合いじゃない。

なので、この手を離して。」





そう言って、掴まれている腕を軽くあげる。


すると、私のその言葉を聞いた『冠城さん』は、微笑んでいるのに笑わない目をして、





「ふ~ん。

何で、嘘ついたわけ?」





男にそう言う。





「お、俺はべべべべ別にっ!」





焦る男。


『べ』多すぎだし。





「ま、今日は時間ないから見逃すけど、次こういうことがあったら、タダじゃすまないからね?」






そう言って、更に深く微笑んだ。




それは、悪魔の様だった。





「はっ、はいぃっ!」




情けない声をあげ、男はパッと私の手を離し、慌てて去っていった。






この場には、私と『冠城さん』。



遠巻きに聞こえる人々の話し声。





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