Dark Light
「はい。着いたよ。」





そう言って、『冠城さん』は目の前の黒のボックスカーの後ろのドアを開けて、私をポイッと投げた。






「きゃっ!」





トサッ





「じゃ、大人しくしててね。」





そう言って、ドアを閉めた。





閉められたドアを呆然と見つめる。





「……違うって言ったのに。」





「何が、違うんだ。」






不意に後ろから聞こえた声。



慌てて振り返ると、私のすぐ後ろに男の人が座っていた。







ボックスカーの空間があっても、窮屈そうに組まれた長い足。







黒のVネックの部分から見える骨ばった鎖骨。






細身なのに、シャツの上からでも分かる様な筋肉質な身体。






シャープな形の顔にそれが正解かの様に置かれたパーツ。






私を見る漆黒の瞳。





二重なのにキリッとしていて、左の目の下にまるでオリオン座のベルトの様な3連の泣き黒子。





それによって漂う色気。





そして、車内に明かりがないのにはっきり分かる程の光沢を放つ銀色の髪。







これが美しいと言うのだろうか、と思った。







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