Dark Light
唖然と見る私に怪訝に細められる瞳。





「……おい、何が違うんだ。」





低く身体の芯に響く声。





それに、我に返る。




私が呆然としている間に車は発車していた様だった。





「……私、『走り』を見にきたんじゃないんです。


それをちゃんと言ったんですけど…。」





そう。



私は『走り』を見にきたんじゃない。



走りにきたんだ。






私の言葉にその人は何も言わない。






そのまま、沈黙が流れた。




不思議と居心地の悪さは感じなかった。







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